地域在住の65歳以上の方を対象に,10mのいつも通りの歩行と下図のように障害物(発泡スチロール)を設置した状況での歩行という,2種類の環境で測定を行いました.
その際,障害物をまたぐまでの歩行状態の,眼の動きと歩行時の動揺性を記録しました.
過去に転んだことがある人と無い人の2グループに分け,記録結果を比べてみました.
その結果,転んだことがある人は無い人に比べて,障害物がある環境で歩いた時に
①目の動きが遅い
②一カ所を凝視している時間が長い
③歩き方が不安定になる
ということが明らかになりました.
一般的に,「眼の動きが遅く凝視している時間が長い人は,視野が狭くなる」「歩き方が不安定な人は転びやすい」と言われています.
これは,徐々に近づく障害物を安全にまたごうとするために,障害物ばかり見ていることで他の障害物や他者に気づくことが遅れてしまい転んでしまうのではないかと考えられます.
屋外を歩くときや障害物があるところを歩くときは,一つの物だけでなく周辺を広く見渡すことで転ぶ危険性を差が得ることに繋がると考えられます.
この取り組みは下記の論文で報告しております.
Tadatoshi Inoue Kenji Kamijo Kenzo Haraguchi Akihiro Suzuki Misako Noto Yuh Yamashita Takashi Nakamura.Risk factors for falls in terms of attention during gait in community‐dwelling older adults.Geriatrics & Gerontology International.2018(18)1267-1271.IF:2.656(2018)
作業療法士:井上